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【紅の豚】登場人物と声優一覧

紅の豚は1992年に公開された宮崎駿監督による劇場用アニメーション作品である。

今回は紅の豚の登場人物と声優を振り返りながら、それぞれの魅力や物語について考えていこうと思う。紅の豚の登場人物はどんな人々だったのだろうか?

以下の文章では不意にネタバレが挟まれますので、その点はご注意ください。

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紅の豚の登場人物と声優

登場人物①:ポルコ・ロッソ|声優: 森山周一郎

ポルコ・ロッソの基本情報

紅の豚の主人公。年齢は36歳。

第一次世界大戦時のエースパイロットだが、現在は退役し、空賊退治で賞金稼ぎをしている。

そんな男のロマンそのものみたいな経歴を持つポルコだが、本編の序盤では、麗しの令嬢たちを助けに行ったものの、結果的には元気な子どもたちを救う羽目になるというトホホな結末を迎えていた。

ポルコにとっての紅の豚

ポルコはもちろん紅の豚の主人公なのだが、物語の最初と最後で彼にはどのような変化があったのだろうか?

結論から述べると、基本的な生き方の方針は何も変わっていない。そして紅の豚とはそういう物語であるように思われる。

もちろん明確に変化していることもあり、ジーナとは良い仲になったようだ(おそらく結婚している)。ラストシーン直前にホテル・アドリアーノにポルコの飛行艇が止まっていることからそれが分かる(今となっては有名な話になったが)。

ただ、そんな状況でもポルコは頑なに空を飛び続け家庭に飼いならされてなるものか!と突っ張っているのだろう。

それは第一次大戦後、変わりゆく世界情勢に背を向けて頑なに自分でいようとしたポルコの姿勢と変わらない。

それでも、傍らにジーナがいてくれるということは彼にとってはとても幸福なことだろう。飼いならされなるものか!と突っ張れる相手がいるのだから。

声優の森山周一郎さん

声を担当したのは俳優、声優の森山周一郎さん(1934-2021)。ポルコの声としては余人を持って代えがたく、森山さん以外にはいなかっただろう。

ポルコ以外にもアニメーションで声優を何役もこなしているが、どちらかといえば洋画の吹き替えやナレーションで声を聞いた記憶の方が多いのではないだろうか。

個人的にはドラマトリックのオープニングナレーションを強く覚えている。

登場人物②:マダム・ジーナ|声優: 加藤登紀子

マダム・ジーナの基本情報

ホテル・アドリアーノの経営者でポルコの幼馴染である。マンマユート団のボスによると、地中海の飛行機乗りは全員ジーナに恋をする。

彼女は本編に登場する以前に三人の飛行機乗りと結婚し、結果的に全員と死別している3人目に関しては本編開始後に知らせを受け取った

飛行機乗りが好きなのか、狭い人間関係の中でまとめたのか。二人と死別してなにかに気付くべきだったと思うのだが、きっと三人目が随分といい男だったのだろう。

そんなジーナだが、もう打つ手がなくなったのか、ようやくポルコに目を向けたようでポルコが庭に降りてきたら今度こそ彼を愛するというなんとも上から目線な賭けを行っていた。

そんな彼女の賭けだが、先述の通り、ラストシーン直前にホテルアドリアーナの裏手にポルコの飛行艇が止まっているのが確認できるので賭けに勝ったということで良いだろう。

声優の加藤登紀子さん

声を担当したのはシンガーソングライターの加藤登紀子さん。主題歌のさくらんぼのみのる頃、エンディングテーマの時には昔の話をも担当している。

登場人物③:フィオ・ピッコロ|声優: 岡村朋美

フィオ・ピッコロの基本情報

祖父が経営する飛行艇製造会社ピッコロ社に務める17歳。非常に若いが才能あふれる若者で、劇中ではポルコの飛行艇の再設計を任されている。

子供の頃に紅の豚を見ていた時には、ズケズケとポルコについていくフィオの姿に大分イライラしたものだった。もう少し彼女の臀部が小さくて、飛行艇の装備をへらす必要がなければそんな思いに駆られることはなかったかもしれなかったのだが、当時はどうしても好きになれなかった。

ただ、いい年になってみると好きになれないというよりは、なにやら違和感を覚えてしまう。

もちろん彼女がその才能をいかんなく発揮したことによって新機構が導入され、その状態を確認したかったということも分かるし、才能豊かといってもまだ17歳であるがゆえに経験に基づく自信がない。そんな彼女が飛行艇の状態を見たかったことも無理がないことも分かる。

さらにフィオの本心を想像するなら、ポルコとの旅そのものに対する興味があったことも間違いないだろうし、そこでえいやっ!と行動に移してしまうのが若さの特権である。そして我々が忘れてはいけない感覚でもある。

ではどこに違和感があるのか?

それは、職業倫理ものとして一連のフィオの仕事を考えるなら、ついていかないほうが絶対かっこいいといことに起因する。

これからの人生でフィオは恐らく数え切れないほどの新しいものを開発するのだろう。そしてそれが自分の手を離れる度について行くのだろうか。それは職人のあるべき姿とは言えないだろう。どんな仕事でも自分の手を離れたらそれ以上自分が手を入れることは通常できない。もちろん完璧なものなどこの世に存在しないので、いつだってしまった~と思いながらも次の仕事に取り掛かるのだろう。

でも仕事とはそういうものであって、そんなことは延々とアニメーションを作り続けてきた宮崎監督なら誰よりも知っていることである。

だとしたら、本来はいつか自分の手を離れてしまうことが分かっているからこそ、ついていかなくても良いものを作り、ぐっとこらえてポルコを見送るほうが絶対にかっこいい

ではなぜフィオがポルコについて行く流れにしたのか・・・それはその方が実はポルコが嬉しいからしかないだろう。

フィオがついてくることを最初は拒絶しながらも、一撃でポルコが説得されたのはそれが自分が望んだことだからであって、わずかに拒絶してみせたのはおっさんのマナーといったところだったのだろう。

しかも、物語をある程度客観的な視点で見ることができている我々は

  • 昔から惚れている女はポルコと一緒になろうとしている。
  • カーチスとの決戦後にポルコはフィオからのキスのご褒美をもらう。

ということを知っている。そして我々よりも紅の豚の世界を自由に出来る宮崎駿監督がその物語を描いているのである。

結局フィオがポルコに着いて行った理由を言葉にするならばおっさんの夢ということになるだろう。

それでもなおフィオを子ども扱いし、自分から遠ざけようとしたのはルパン三世カリオストロの城のラストの類似ではないだろうか。

自分の脳内に都合の良いおっさんの夢があったとしても、それを実現しようとしないのがおっさんのマナーである。未来ある若者を縛ってはならない。というか、縛れるという可能性を感じている状況そのものがおっさんお夢である。

それが宮崎駿監督の夢だったかどうかは分からない。しかし、人はいずれおっさんになる。その時におっさんの夢を持つことは構わないが、同時におっさんのマナーを持つことが寛容であろう。それが我々がカリオストロの城紅の豚から学んだことだと思う。

声優の岡村朋美さん

声を担当したのは声優の岡村朋美さん。非常に沢山の作品で声を担当している方で、有名なところではONE PIECEのナミの声を担当している。個人的には忍空の美香の声をよく覚えている。

登場人物④:ピッコロのおやじ|声優:六代目文枝

ピッコロのおやじの基本情報

イタリアのミラノで飛行艇製造会社ピッコロ社を経営する人物。フィオの祖父でもある。

ポルコの昔なじみでもあり、ポルコ本人その仕事に信頼をおいているようである。

本編では普段設計を担当している息子三人が不在という状態で、ポルコの飛行艇サボイアの改修作業をフィオに任せていた。それはフィオの才能を認めていたからだったのだが、そもそも男手が足りていないようで、実際のサボイヤの改修作業はすべて女手で行われた。

その状況に不安を口にするポルコに対して心配するな、女はいいぞ。よく働くし、粘り強いしなあ。と彼は語ったのだが、現代的にはテレビ放送するたびに少々ヒヤヒヤする表現である。一見褒めてはいるのだが、その上から目線っぷりは明らかであり女はいいぞという表現にtwitterが荒れることは想像に難くない。

そろそろ作品中一部差別的な表現が存在しますが作品が、作られた時代背景を鑑みそのまま放送しますの一言が紅の豚にも必要な時代になっているのかもしれない。

声優の六代目文枝師匠

声を担当したのは六代目桂文枝師匠。本業はもちろん噺家さんであるが、俳優業やテレビタレントとしても活躍している。私と同世代の人間なら噺家さんというよりは新婚さんいらっしゃいの人という印象のほうが強いかもしれない。

登場人物⑤:マンマユート・ボス|声優:上條恒彦

マンマユート・ボスの基本情報

アドリア海を根城とする空賊団マンマユート団のボス。

物語の開始とともに子供を多数誘拐し人質にするというとんでもない悪事を働いているが、その理由が一人じゃ可愛そうだったことと、子供の扱いにてんやわんやしている姿が描かれることで悪事を働いてはいるが『悪人』ではないという印象を持つことができるようになっている。

それは紅の豚という作品全般に言えることで、なにか深刻なことが起こっていそうな雰囲気はあるのだが、ギリギリのところでコミカルな演出をしてくれるお陰で楽しい作品になっている。

我々が紅の豚を好きなのはこのような絶妙なバランスも一つの理由になっているのかもしれない。

声優の上條恒彦さん

声を担当したのは歌手、俳優、声優として活躍する上條恒彦かみじょうつねひこさん。個人的には歌手という印象が強い(昭和のヒット曲だれかが風の中での印象だと思われる)が、俳優としても多数の作品に出演している。

アニメーションの声優も何作品かなさっているようだが、ジブリ作品としてはもののけ姫のゴンザ、千と千尋の神隠しの千尋の父役を担当している。

登場人物⑥:ドナルド・カーチス|声優:大塚明夫

ドナルド・カーチスの基本情報

イタリアにその起源を持つアメリカ人。本編の開始と同時にポルコにこっぴどくやられた空賊連合が雇った用心棒。ポルコとやり合うことの出来る唯一の人物として描かれる。

一流のパイロットにして用心棒なんて肩書を持っているが、その性格は極めてコミカルで、彼の人間性なのかイタリアの血なのか、出会うや否やジーナとフィオを口説いている。

ただその口説きは基本的に本気なようで、ジーナにしろフィオにしろきちんとプロポーズまでしている。結果的に彼の思いは届かなかったが、どうにも傷ついているようには見えないやはりイタリアの血なのだろうか

ただ・・・対ポルコ戦の現実を見てみると、結構血なまぐさい。

少なくともカーチスはポルコとの初戦で完全にポルコを殺しに行っているし、実際にそうなったと思っている。第二戦にしても、途中からコミカルな戦いになったものの、その序盤では完全に殺しにかかっているポルコは所謂舐めプをしていたが

ところが、そんな血なまぐさいシーンでも、そこにカーチスのコミカルな人間性が乗っかっているお陰でそれが薄まっている。結果的に紅の豚楽しい映画として見ることが出来るようになっている。

これはマンマユート・ボスを始めとする空賊連合や、作品に登場したすべての人に共通しており、当時の社会情勢、空賊の犯罪行為、飛行艇でのドックファイトなど、いくらでも深刻になれる問題が山積しているのにもかかわらず、彼らの人間性のお陰で見ていられる作品になっている。この辺が宮崎駿一流の仕事なのだろう。

声優の大塚明夫さん

声を担当したのは皆さんご存知大塚明夫さん。多くのアニメーション作品で声を担当しているが、個人的に思い出に残っているのはふしぎの海のナディアのネモ船長、モンタナ・ジョーンズのモンタナ、白鯨伝説のエイハブ、攻殻機動隊のバトー、機動戦士ガンダム0083のガトーなどといったところである。

主役ないしは主役級の声を歴任しており、声優界の生きる伝説であろう。さらに2021年からは50年以上にわたり次元大介を演じていた小林清志さんに変わり、声優を担当している。

登場人物⑦:フェラーリン|声優:稲垣雅之

フェラーリンの基本情報

イタリア空軍の少佐で、第一次大戦中はポルコの戦友だった。

戦後手のひらを返すように変わっていく世間を斜から見ているポルコと異なり、それでもなお直球勝負で生きている男となっている。

大戦の英雄であったポルコも、あのような生き方をしていなければフェラーリンのようになっていたことだろう。

どちらの生き方が正しいかは決められないが、俺たちはどちらのほうが好きかとかかっこいいと思うかくらいの感想は持ってしかるべきだろう。きっとそこに自分という人間が反映されることになる。

私はなんやかんやとフェラーリンに象徴される直球勝負で生きている人がいるからお前は豚でいられるんだぞと思ってしまいがちなので、どちらかといえばフェラーリンが好きである。

ただそれは、への憧れの反作用にすぎないかもしれない。

声優の稲垣雅之さん

声を担当したのは声優、俳優の稲垣雅之さん。現在はアクティングインストラクターとして活躍している。

登場人物⑧:空賊連合

空賊連合の基本情報

マンマユート団と同様に、アドリア海で空賊行為を行っている空賊の一団。常に行動を共にしているわけではないが、大仕事をするときには手を組んでいる。

そんな彼らの宿敵は賞金稼ぎをしているポルコである。そんなポルコとジーナとの関係に苦々しい思いを持っていたとは思うが、なんやかんやとジジイになるまでホテルアドリアーナに通い詰めている。

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ジブリ作品と聞かれたら平成狸合戦ぽんぽこと答えることにしている。

この記事で使用した画像はスタジオジブリ作品静止画の画像です。

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北国出身横浜在住の30代独り身。日頃は教育関連の仕事をしていますが、暇な時間を使って好きな映画やアニメーションについての記事を書いています。利用したサービスや家電についても少し書いていますが・・・もう崖っぷちです。孤独で死にそうです。でもまだ生きてます。だからもう少しだけ生きてみます。           
           
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